マルハナバチの技術情報 |
 |
■マルハナバチはトマトの花が好きではない?
〜マルハナバチは浮気もの?〜
|
一日に2000花にも訪花してトマトの受粉には欠かせなくなったマルハナバチですが、決してトマトの花が好きで花粉を集めるわけではありません。
花は上を向いて咲くイチゴなどの花と、下を向いて咲くトマトなどの花の2種類に分けることができますが、花粉の性質も咲き方によって違います。
イチゴなど上を向いている花の花粉は、水がかかりやすいため花粉の外側に油分が多くネバネバしています。そのためマルハナバチなどが花粉を集めてダンゴ状に固めやすいと言えます。
逆にトマトの花は下を向いて咲くので、雨水などがかかりにくく花粉の表面には油分が少ないのでツルツルした状態で花粉ダンゴを作りにくいと言えます。
マルハナバチはトマトの花粉ダンゴを作るのに、胃の中から密を吐き出して花粉を練り上げますが、このような一作業多く必要となる花よりも、イチゴなどの花が近くにあればそちらに優先的に訪れるであろうことは想像に難くありません。またイチゴの花には蜜もあるので成虫の餌も同時に補給できます。
それではどうしてトマトの花に訪れるのでしょうか?
これはマルハナバチにとってトマトの花が近くにあることで花粉を採取するのに都合が良いからです。
マルハナバチは必ずメインの花1種類とサブの花2〜3種類を決めていて、メインの花に花粉が足りなくなるとサブの花に行くようになります。毎日トマトに訪花し受粉作業をしてくれているマルハナバチもトマトの他にサブの花をいくつか持っています。サブの花とは当然温室の外に咲いている季節ごとの花です。
何らかの原因でトマトの花に花粉がなくなると、マルハナバチは温室の外に咲いている花の花粉を求めて温室外に出ます。すぐにトマトの花の花粉が出るようになれば、元のトマトをメインの花として認識しますが、数日間花粉の出ない状態が続くと今までサブだった花をメインとしてとらえるようになります。その結果トマトの花に行かず、温室外の花ばかり訪れるようになるということです。
マルハナバチのコロニー(巣)にはハタラキバチが50〜100頭いますが、概ねその1割が外で働く外役蜂とされています。したがって通常5〜10頭が温室内で働いている状態が正常です。トマトの花に訪れているマルハナバチの数が極端に少ないときは外の花に行っている可能性があるので、花粉の状態を調べて対策を練ることが必要です。
|
|
|
|