■なぜハチが飛ばない?
7〜8月定植の抑制トマト栽培にとって、酷暑期のホルモン処理は重労働ですね。
こんなときにマルハナバチが受粉をしてくれたら・・・ホルモン処理を担当されている方(特に女性の皆さんが作業することが多いようですが)にとって切実な願いと思います。
「マルハナに受粉してもらおうと9月中旬に導入したけど巣から出てこない」「中でブンブンいってるだけで全然働かない。この巣は不良品じゃないの?」「穴を掘ってアイスノンを入れて・・・ハチにとってはいい環境なのに飛び出さない」
こんな言葉を何度も聞きますが、前項にも書いたようにマルハナバチは花粉を集めるために訪花するので、花に花粉がない状態では温室内の環境が適当でも受粉活動をしません。
マルハナバチの活動温度は低温側では最低5℃、高温側では最高32〜3℃と幅広く、理屈では9月中旬でも温室内の温度さえ条件が合えば訪花するはずです。しかしなかなか思ったように活動してくれないのはトマトの花に花粉がないからなのです。
それでは花粉はどうしたら出るのか・・・という問題になりますが、やはりトマトの花が正常な生育をしないといけません。 よく言われることは「今日は涼しくてハウスの中も最高気温が25℃だけど花粉が出てこない」というセリフです。
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ここでトマトの花に花粉が生成される条件をご紹介します。
トマトの花の発育は開花前の温度、光、栄養状態などの条件に大きく影響されます。
育苗期の高夜温、弱日照(夏場は関係ありませんが)や極端な肥料不足、少潅水、摘葉などにより花の発育が悪くなり、さらにこのような条件下では花粉も作られなくなります。特に開花前の高温条件では花粉が充実せず花粉の発芽率も著しく低下するようです。
開花前には花粉細胞の分裂期(開花10〜12日前)があり、特にこの頃から高温(35℃程度)に対する抵抗性が著しく低下し花粉の発育が阻害されるようです。
したがって、9月中旬に開花する花の花粉の基礎が作られるのは8月末〜9月上旬ということになるので、この時期に遮光や充分な換気などの対策をしないと花粉は作られないというわけです。
ハウス内が暑い時期こそマルハナバチを使いたいものですが、もう一度栽培環境のチェックをして導入後すぐにマルハナバチが働く時期を見極めることが必要と考えます。
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花粉の形成に理想的な気温
最低夜温 |
15℃(光熱費から考えると10〜15℃) |
最高夜温 |
20〜25℃(草勢や果実肥大から考えると10〜15℃) |
最低昼温 |
20℃ |
最高昼温 |
30℃(35℃以上で死滅の可能性大) |
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