■萩原先生の栽培ポイント
<章姫の栽培(基本)>
2.イチゴと水の管理
水と光と温度と肥料(養分)は、イチゴづくりの重要な要素です。章姫のように大果多収系のイチゴづくりには、ことさら大切です。
いうまでもなく、イチゴは土壌水分が間断なし補給され、乾湿の差があまりない方が良いわけです。
作物の種類によっては、土壌水分の変動が、ある程度あったほうが良い作物もあります。
だが、イチゴは土壌水分の変動巾が比較的少ないほうが良い作物です。だから大果を継続して多収するには、そのハウス土壌に相応した水管理が重要です。
土壌水分が補給され、イチゴか根から吸水している様子を知るには、いろいろの診断、観察方法があります。わかり易いこととしては、植床のマルチ下の土壌湿度や、葉からの溢液状態、あるいは果実を摘み採る時のヘタ折れの程度、等々によって目安がわかります。
もし土壌水分を簡易測定するとすれば、PF1.8〜2.0位が良いでしょう。PF2.0を越えてくると、土壌水分が乾燥に傾いたことになります。
章姫は、ビニールハウス内での栽培ですから、真冬でも晴天の日中には温度も上昇し、葉の働きは旺盛です。つまり外気は冬でもハウス内は春ですから蒸散もさかんに行われます。
水分は葉から蒸散されるから、根から吸収されるわけですから、土壌水分の補給が必要です。葉から蒸散される量は、天候や気温、光の強弱、大気中の湿度、葉令や葉面積、葉面積指数、等々複雑な要素によって異なり、画一的なものではありません。
しかしおよその目安として知っておきたいことがあります。それは晴天の日に葉から蒸散される一日の水分量は、10月〜2月頃までの期間には、1日におよそ1mm、3月以降気温が上昇してくると、2mm位といわれます。これを10a当りに概算すると、1日300〜500lの水に相当することになります。きわめて大雑把な計算ですが、要は低温期でもハウス内は春と同じですから、かなりの水分が葉から蒸散されているということを理解していただきたいわけです。また育苗から収穫が終るまで、乾湿の差が大きければ大きいほど根の活性も低下してしまいます。
萩原 貞夫
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