Little farmer
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■マイネックスを使いこなすためのポイント
天敵農薬は微少な昆虫のため、殺虫剤のように広い条件下で高い効果が得られるものではありません。寄生蜂を使いこなすためには、特徴と効果的な利用条件を良く知っておくことが重要です。
このページでは、天敵が効率的に活躍できる条件のポイントを紹介します。
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1.農薬の影響
マイネックスに含まれる寄生蜂は、殺虫剤に対して長期間影響を受けるので、薬剤散布は充分に考慮する必要があります。
特に合成ピレスロイド剤、有機リン剤、カーバメート剤の影響は大変強く、これらの薬剤は散布後1ヶ月以上にわたり悪影響を及ぼします。
また、定植時や育苗時に使用することが多い有機リン系の粒剤(オルトラン、ネマトリン等)も同じ様に1ヶ月以上の悪影響があるので、これらを使用した場合は天敵放飼までの期間を1ヶ月以上開けて下さい。
一般的に害虫に対する薬剤の残効期間に比べ、天敵への影響期間のほうが長いので、薬剤が害虫には効かず、天敵に影響が残る期間が問題になりますが、この時は天敵へ影響の少ない薬剤を散布する必要があります。
各薬剤のマイネックスに対する影響は現在も試験が進められており、今後明らかになって行きますが、アプロードなどのIGR剤はほとんど影響がないと思われます。
また、クロロニコチニル系の粒剤(モスピラン、アドマイヤー、ベストガード)の影響は比較的少ないので、育苗時のポット処理ならば使用可能と思われます。
薬剤の選定は、放飼する日に向けて影響の強めのものから始めて、徐々に影響の少ないものに変えていくことが必要です。
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2.放飼のタイミング
今まで行われてきた試験の中では、マイネックスの効果がまったく上がらない事例も見受けられました。
この主な原因は前述の農薬の影響もさることながら、マイネックスをいつ放飼(ハウス内に放つこと)したかというタイミングに問題がありました。
寄生蜂の効果はすぐには現れないので、マメハモグリバエの密度が高まってからの放飼では手遅れになります。
基本的にはハウス内に黄色粘着シート(商品名:ホリバー等)をつるし、これにマメハモグリバエの成虫が1頭でも付いたらその時が放飼のタイミングと考えて下さい。
マイネックスはオランダから輸入されるのでご注文から納入まで最低1週間かかります。
あらかじめこの期間を考慮に入れて、ハウス内の観察を充分に行って下さい。
天敵防除成功の1番の秘訣は「観察」です。 |
3.放飼回数と量
マイネックスは放飼後1週間ほど生きており、新たな成虫もハモグリの蛹から発生してきます。
そのため作付け中、常に放飼を繰り返す必要はありません。
一週間おきに3〜4回の放飼をすれば充分との試験結果が出ています。
また1回に放飼する量は、発生初期の極低密度のとき(ハモグリの食痕がほとんどない)なら1ボトル(250頭)/10aでよいと思われます。
4.マイネックスが好む気温
マイネックスは30℃以上の高温では寿命も短くなり発育も抑えられます。
また、15℃以下の低温期でも産卵数や活動性が低下して、効率的な防除が難しくなります。
以上のことから20℃〜28℃くらいがマイネックスにとって、最も効率的にマメハモグリバエを攻撃できる気温条件と考えられます。
従って7月〜9月上旬の高温期と11月〜3月までの低温期を除いた4月〜6月と9月中旬〜11月までがマイネックスを放飼するのに適した時期といえます。
5.効果の判断
マイネックスは幼虫を殺して産卵や体液吸汁を行うので、攻撃されたマメハモグリバエの幼虫は色が黒くなります。(通常は黄色〜オレンジ色)
従って、この黒い蛹(マミー)がハモグリのトンネルの中で増えていれば防除は成功したと判断できます。
何割くらいが黒いマミーになっていれば良いかは、その時のハモグリの密度にもよりますが、およそ50%以上〜80%になっていれば成功と考えられます。
6.おわりに
ヨーロッパを中心に天敵を用いた害虫防除は拡大しています。
害虫の薬剤抵抗性や作物の安全性、環境問題などを考えると今後天敵を使った防除方法は更に普及していくと思われます。
市場や消費者の天敵利用に対する評価は今のところ決して高いものではありませんが、今後天敵を使った農産物に対する期待は更に高まり、評価されると信じています。
是非天敵を使った害虫防除にチャレンジしてみて下さい。
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参考文献:
マメハモグリバエの生態と天敵製品の使い方(静岡県農業試験場、小澤朗人)
マメハモグリバエおもしろ生態とかしこい防ぎ方(農文教、西東力著)
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有限会社サギサカまでお寄せ下さい。
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