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章姫

「章姫」の品種紹介

<育成者>
萩原章弘(はぎわらあきひろ)

<形態的特性>
 草姿は立性で、草勢が強く、草丈は女峰より高い。葉は濃緑色で大きく、枚数が少ない。果房はかなり長く、30~40cmに伸びる。腋芽の発生が少なく、展開葉数も少ないため、株の管理は省力的である。ランナー発生はきわめて旺盛であり、子苗の発根は良好である。

<生態的特性>
 静岡県中部の平坦地での頂花房分化期は9月中旬で、女峰より1週間程度早い。腋花房は連続的に分化するが、頂花房の着果数が多いと心止まり株の発生することがある。休眠はごく浅く、促成条件下でのわい化はほとんどない。頂花房及び第1次腋果房の着果数が多い場合には株疲れが強いが、電照による草勢回復効果が強い。

<果実特性>
 果実はかなり長い円錐形で、乱形果の発生がごく少ない。平均果重は15g程度で、とよのかと同程度~やや大きい。果皮色は鮮紅、果肉色は淡紅、空洞の発生は少ない。糖度は女峰並みだが酸度が低く、食味は良好である。果実硬度は中程度だが、果皮がやや軟らかいため、特に温度上昇期には収穫熟度に注意する。果実の熟成所要日数は女峰より5~7日長い。

<収量特性>
静岡県中部の促成栽培での収量は女峰と同程度以上であり、特に大玉果の割合が高い。

<病害虫抵抗性>
特定の病害虫に対する抵抗性は持たない。特に炭そ病にはやや弱いため、親株床、育苗中とも十分な注意が必要である。

<作型適応性および栽培上の注意点>
 女峰より花芽分化が早く、また休眠が浅いため温暖地の促成栽培に適しており、高冷地育苗や夏期低温処理育苗などによる早出し促成栽培に対する適応性も高い。心止まり株発生を防止するためには、育苗後期の極端な肥切れをさけるとともに、定植後の順調な活着を図る必要がある。また草勢が強すぎた場合、低温管理で急に抑えると心止まり株発生につながりやすいため、被覆期以降を低温気味に管理して徒長を防ぐとともに、草勢に合わせた摘果に心がける。なお、果実がやや軟らかいため、12月~3月を中心に出荷する作型が望ましい。
第1表 章姫の特性
(斉藤、1994より抜粋)

テーブル株当り収量
(g)
大玉果a
(%)
平均果重
(g)
糖度
(%)
酸度
(%)
章姫 582.5 52.3 19.2 9.6 0.51
女峰 370.4 39.9 13.3 10.0 0.79

注 促成栽培(静岡市)、a:L級以上の割合

詳しい収量調査結果についてはこちらをご覧ください

農文教編:農業技術体系 野菜編3より抜粋